東京渋谷にある公共トイレの清掃員として働いている。毎朝同じ時間に起き、支度をし、植木に水をやり、缶コーヒーを飲みながら仕事にでかける。カセットで音楽を聴き、古本を買って読む。その日々は穏やかで、同じことの繰り返しにみえる。
代々木深町の公園に住み着いたホームレスの男。すべてを捨ててそこにいる男は、陽の光に手をときおり伸ばす。その様子がどこか荘厳で、平山は小さな敬意を覚えている。
平山の姪。母親と喧嘩をして、鎌倉の家を出て十数年ぶりに平山を訪ねてくる。小さいときに平山だけが自分の理解者だと感じることがあった。
平山の同僚。調子がよくいい加減な性格で、平山はどこか憎めないものを感じている。いつも金がないと嘆き、いつもそれを世の中のせいにする。最近はアヤに夢中。
ガールズバーで働く女の子。タカシのことは好きでも嫌いでもない。自分の世界があって、他人にはあまり期待しないようにして生きている。
平山の妹。ニコの母親。鎌倉の実家近くで裕福に暮らしている。父と兄が衝突したとき、自分は何もできなかった。そのことに負い目を感じながら、そのせいで十数年兄と会えずにいた。
浅草で居酒屋をやるようになったのは離婚してだいぶたってからだった。最近は常連もついてなんとかやっていけるようになった。平山に好意をもっているが、もうそれをどうこうする年でもないと思っている。
ママの元夫。離婚してすぐ再婚をした。妻と子供がいる。病気をきっかけに過去を振り返る小さな旅をはじめて、昔の結婚相手の様子を見にやってくる。